細く弱い線

インターネットの普及のおかげで、「人との繋がりやすさ」というのが飛躍的に進歩した。やろうと思えば、メールアドレスさえ知っていれば世界中の人達と知人になることだって理論上は可能ともいえる。これはかなり重要なことで、どんなテクノロジーが発達したとしても、最後に何らかの判断を加えるのは人間であることには違いないし、突き詰めれば、テクノロジーなんていうのは道具でしかありえない訳である。だから、友人や知人は、それだけ自分の考えや意見が、正否をトレースをしてくれる人、また自分にない考えや意見を提言してくれる人という意味において重要である。

しかし、昨今、インターネット上だけでの知合いと、既存の知人とを並列に考えている、あるいはそれ以上に考えている人というのも少なくないと思われる。最後は個人の哲学なので、関係ないだろうと言われてしまえばそれまでなのだが、実はインターネット上だけでの知合いというのは、極めて細く弱い線であり、メールが来なくなったら、それでおしまいというケースが多い。こういう言い方は問題があるかも知れないが、優先度という事を考えた場合、幼馴染の友達と昨日、今日知合ったネット上の知合いはどちらが大事か？と聞かれた場合、前者だと言うのが普通だと思うのだが、どうやらそうでもないように感じる。

深入りするなという話ではない。知人や友人は多いに越したことない。言いたいのは、もっと冷静に考えた方がよいという事。現状は「細く弱い線」だが、後々は生涯の友人になりえるかもしれない。実際に会ったことのない人は、先ず、少しずつ模索してもよいのではなかろうかとよく思う。