どうやら「存続の危機」が危ぶまれた、帯広のばんえい競馬だが、ソフトバンクが手を差し伸べて、ほぼ存続することになったようだ。知らなかったのだが、ばんえい競馬というのは日本固有(北海道固有)のもので、今回、帯広のばんえい競馬がなくなるという事は、競技自体がこの世から消えるという事になる。ばんえい競馬というのは、北海道遺産にも指定されている文化であるから、その文化が消滅する危機さえあったという事だ。存続の危機になった理由は、お約束の赤字体質。北海道の支庁財政は夕張をはじめ、痛手を被っている所が多い。そんな中、文化だ、文化と言ったところで、背に腹は変えられないというのが、本音と言ったところだろう。競馬に興味がない人にとって、また「ばんえい競馬なんて知らない」という人にとっては「とっととつぶしてしまえ」という論法が成り立つ訳だし正しいと言えば正しい。

「赤字垂れ流し」体質というのはプロ野球にしても然り。一部の球団を除いては、ほとんどが赤字経営だし、それでもここまでやってこられたのは、法人税法の恩恵があるから。ただ、今後はこの論法が、これからもまかり通るかといえば、来年、再来年なら平気かもしれないが、10年後、20年後の話になった時、通用するか?といえば、自信をもって「大丈夫!」といえないような気がする。現に近鉄がハングアップしたのは記憶に新しい。

そもそも、今回のばんえい競馬にしたって、バタバタ潰れている地方競馬にしたって、競馬という利権であり、必ず儲かるという前提の上に成り立ってきたのだが、地方自治体の財政に影響を及ぼす、つまりは赤字により前提が崩壊したので潰すという事であり、これをプロ野球に置き換えるのであれば、法人税法の恩恵を受けるのと、やめてしまうのでは「やめてしまう方が得だ」と球団を保有している親会社の大株主が言い始めたら、簡単に崩壊する仕掛けになっている。

このあたりの話は、今、プロ野球を回している、球団であったり、機構であったりの人達がちゃんと考えなきゃいけない時期であり、このままいくと「ヤバイぜ」と真剣に思わないとイカンのではないか。仮に12球団中、1〜2球団が、まだまだやるぞ!と言ったところで、残りの球団がハングアップしてしまったらプロ野球としての興行が成立たなくなる。だったら、同じ船に乗っているのだから「みんなで魅力があり、価値のあるプロ野球にしようよ」というコンセンサスが無ければならない。今まではともかくとしても、誰かがこの先の大きな絵図(コンセプト)を書く必要が絶対にあるのではなかろうか。記憶の限りだが、Jリーグ発足当時、川淵キャプテン(当時はチェアマン?)が「Jリーグ100年計画」的な事を言っていた記憶がある。当時は皆して「何が100年だよ」と揶揄されていたが、今となっては、とても正しいようにも思える。

中にどっぷり浸かっているプロ野球ファンは、10年、20年後にプロ野球自体が、無くなってしまうという事など夢にも思わないだろうが、20年前から今までと、これから20年先の20年では時代も価値観もまるで違う。今まで大丈夫だったのだから、これからも大丈夫である事などない。今回のばんえい競馬と同じように「存亡の危機」みたいな話になった時、野球に興味がない人に「とっとと潰してしまえ」と言われ、悔しい思いをしないようにしてもらいたいものだ。

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